ものを作ることが好きな性分。なるべくしてなった木工作家。
2020.04.09
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周南市の自宅敷地内にある工房にて、手作りの木工品を作り続ける中村さん。
自然に囲まれたロケーションの中、中村さんのものづくりのルーツをお伺いしました。
ものづくりのルーツ

― 中村さんは、いつ頃からものづくりを始められたのですか?
本格的に木工を始めたのは定年後からです。でも、ものづくりという意味では、子どもの頃から山で木を切って車のおもちゃを作ったり、絵を描いて賞をもらったりしていました。とにかく自然と遊んで、自然から得た材料でものをつくる、ということをしていました。
― ものをつくるにあたり、影響を受けた人はいますか?
実は、誰かから影響を受けたというのは無いんです。生まれつき、ものを作るのが好きな性分だったんだと思います(笑)それに、遊ぶものを作るための材料が周囲の自然の中にたくさんあったことも、ものづくりにのめり込んでいった理由の一つだと思います。暗くなるまで山や川で遊んでいたので、親を喜ばせようと、フナやハヤを大量に獲って帰ったら、逆に父親に怒られたということもありましたね(笑)
木工を本格的に始めたきっかけとは

― 本格的に木工を始めた理由を教えてください
サラリーマンを定年退職して、子ども達も社会人となり、これからの妻との時間を考えることが増えました。そんな時、よく妻と「人生の楽園」という番組を観ていたのですが、自分たちもこういう暮らしがしたいなぁと思いました。
そうして再び、幼い頃から好きだった、もの作りに没頭していきました。
ログハウスを建て、ウッドデッキやピザ釜も作りました。全て独学です。本当に、好きだからできたことだと思います。
妻も野菜や花を育てたり、山菜を採ったり、烏骨鶏を飼うなどしました。自前のログハウスは、近所の方との憩いの場になりました。
ログハウスやウッドデッキを作るのに、たくさんの端材が出たので、それを使って何か作れないかな、と思い木工品を作りました。この木工品を県内のフリーマーケットで販売してみた所、思いのほか好評だったので、本格的に木工を始めることにしました。
黒柿との出逢い

― 黒柿との出逢いについて教えてください
木工品づくりを始めて、年に2回広告を出すようになったのですが、その広告をご覧になられたお客様の中に「黒柿」のコレクターがいらっしゃいました。そのお客様が黒柿を売ってくださるという話になり、私は黒柿の希少価値を知っていただけに、欲しくてたまらなくなりました。ただ、黒柿は希少価値が高い木材ですから、即決できるような値段でもなく、私は迷いました。しかし、「売れなくても良いから買おう!!」と決心し、購入しました。こうして、私自身、黒柿の魅力にどっぷりとのめり込み、黒柿を使った木工品づくりに没頭していきました。
黒柿はファンが多く、噂を聞きつけて遠方からご来店されるお客様も多いです。黒柿を使用した木工品は高価ですが、うちの工房で売れていく商品の8割が黒柿を使用したものです。それだけ、黒柿が好きで探し求めていらっしゃる方が多いのだと思います。
これからの展望

― これからの展望について教えてください
私は今が楽しく満足しているので、これからも変わらぬ日常を楽しみながら、人に喜ばれるものづくりを続けていければ幸せですね。これからも、黒柿を中心に木工品を制作しつづけていきますので、お気軽に立ち寄っていただければと思います。
周南市在住
工房TOMO
中村 知明