人と人をつなぎ、街を創る『室積市場ん』
2021.06.29
車が2台すれ違うには少し窮屈に感じるような細い道に人が集まっていきます。
すれ違う人々が向かった先は・・・
『室積市場ん』が、毎週火曜日に光市室積で主宰している『火曜マルシェ』の会場でした。
室積海商通りの『旧中野昌晃堂』さんを利用した会場には、お弁当、地元の魚、農作物、お菓子、パン、お花、衣類、雑貨やアクセサリー・・・
と様々な種類のお店が並んでいます。
お客様同士が適切な距離を保ちながらも、ワクワクした様子で商品を手に取っています。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、しばらく中止にしていたこちらのマルシェ。
久しぶりの再開(2021年5月18日㈫)を待ち望んでいた地元の人々で賑わっていました。
海商通り一帯に、溢れんばかりの活気。
『火曜マルシェ』を主宰する『室積市場ん』は、自分たちの地元を盛り上げたいという想いの下、日々活動されています。
今回はそんな『室積市場ん』にお話を伺いました。
1.歩く度にまた好きになる室積
古い町並みをそのまま残したような情緒あふれる海商通り。
海商通りにあるマルシェ会場から2分程歩くと、目の前には海が広がっています。
豊かな自然と昔ながらの街並みが溶け合う室積。
しかし、こちらの地域では人口減少に伴い空き家が増加しています。
全国的にも問題になっている空き家、特に室積では深刻な状況でした。
「このままでは、住む人がどんどん減ってしまう」
そう考えたのは、地元の女性たちで編成された『室積市場ん』。
空き家活用と『火曜マルシェ』を軸に活動されています。
まずは空き家活用についてお聞きしました。
このまま空き家にしていてはもったいないような立派な家が多い室積。
原因の1つは、家を探す人と売りたい人同士の繋がる場がなかったことでした。
そこで室積に移住したい人や、お店を持ちたい人のために始まったのが『MUROZUMI おうちつなぐ PROJECT』。
「まだ決めてはいないけれど、少し物件を見てみようかな?」と気軽に相談できるのがこちらの魅力。
もちろん空き家をお持ちの方へのサポートも充実しています。
実際に『室積市場ん』に相談し、市外から室積に移り住んだ方もいらっしゃいます。
「室積に住んでよかった」と言ってもらえることが、何よりも嬉しいそうです。
「この街が好き」という気持ちで前に進み続ける『室積市場ん』。
私も初めて室積を歩いた時よりも、この街が好きになりました。
2.また来週遊びに来たくなる『火曜マルシェ』
小さいお子さんを連れて来られるお母さんから、手押し車を押して来られるおばあちゃんも。
さらには毎回遊びにきてくれるおじいちゃんや、野菜を熱心に選んでいる若い男性の方・・・。
老若男女問わず多くの方が訪れる『火曜マルシェ』。
マルシェの会場である海商通りをまっすぐ歩けば、野菜やお惣菜だけでなくアクセサリーや雑貨など一通りの物が揃います。
車で移動しながら買い物を楽しむのもいいけれど、1箇所でまとめて買い物ができるのは便利ですよね。
マルシェに来られるお客様の中には、小さな子どもがいらっしゃる方も。
そういった方のためにも嬉しい工夫が施されています。
たとえば、魚のお惣菜。
衣だけがつけられています。
実はこれ、ママさん世代の負担を減らすポイント。
「揚げ物を1からするのは大変だけれど、料理を全くしないのは気が引ける」
そんな風に思われる方のために、マルシェから帰宅すると揚げるだけで済むように衣のみがつけられています。
お買い物も1箇所でまとめて便利に、帰宅してからの負担も減らしてくれるのが『火曜マルシェ』。
「毎日の買い物を少し特別に、心が弾むように」と『室積市場ん』の皆さんは日々考えられています。
『火曜マルシェ』が終わると、昼過ぎからメンバーでミーティング。
その日の反省をしたり、次回の改善点を話し合ったりするそうです。
足を運ぶたびに変化していく『火曜マルシェ』。
帰ってきたばかりなのに、次の火曜日が待ち遠しいです。
3.笑顔があふれる海商通り
『火曜マルシェ』は買いに来るお客様だけが楽しむ場所ではありません。
出店者の方も「マルシェに出店するから元気が出る」と言われていました。
隣のお店同士になると自然と会話が弾むようで、お客様から「いつも本当楽しそうにやっているね」と言われるそうです。
お店を出される人も買いに来られる人も『火曜マルシェ』に参加する人は全員が主役です。
『室積市場ん』は「ただ物を売る場ではなく、地元で交流する場としてとらえてほしい」と呼びかけられています。
売上を大きくするには効率や価格なども考えなければいけませんが、『火曜マルシェ』は買い物を通して笑顔が生まれる場所。
取材中に遠くからぼんやりと声が聞こえたので振り向いてみると、車が海商通りにゆっくりと向かってきていました。
声の内容に意識を傾けると、『室積市場ん』や出店者の方で、子どもたちが道にはみ出ないように注意を呼びかけているという状況でした。
その様子を見た私は「人と人をつなぎ、みんなで楽しむマルシェとはこういうことだなあ」と思いました。
「気をつけてね」と近所の大人に声をかけられて育った子どもたちは、その体験がくっきりと胸に残るはず。
4.まとめ
「光市室積を元気にしよう」と活動されている『室積市場ん』。
温かな人と穏やかな海のある室積は、これからも多くの人に愛される場所になるはずです。
皆さんも『火曜マルシェ』に出かけてみませんか?